運動会に出たくない子ども|発達グレーゾーンの息子と家で続けたスモールステップ

「運動会に出たくない」——学校行事を前にして、そう呟く子どもに、どう声をかければいいか悩んだことはありませんか。

結論からお伝えすると、無理に練習させるより、「楽しい」を少しずつ積み重ねることが、我が家では有効でした。

運動会シーズンになると、SNSには子どもたちの笑顔がたくさん流れてきますよね。「楽しそう。」「頑張ってるね。」そんな投稿を見るたびに、少しだけ胸が苦しくなる自分がいました。

息子はADHDグレーゾーンに加え、協調運動症の傾向があります。身体を思うように動かすことが苦手で、運動への苦手意識も強くあります。入学して初めての運動会。過去の保育園での経験もあり、「参加できるのかな」と不安から始まりました。

この記事でわかること
  • 運動会のダンス練習に参加できなかった息子の様子
  • 我が家で実践した4つの「スモールステップ」
  • 運動会当日に起きたこと
  • よくある質問(FAQ)
目次

ダンス練習に参加できない息子

運動会の練習が始まっても、息子はなかなかダンスに参加できませんでした。先生やお友達が声をかけても「僕はやりたくない」「僕はダンスが下手くそだから」とずっと体育館や運動場の隅っこに座っていると、学校からもお友達からも報告を受けました。

私はそんな息子の話を聞くたびに、「できるようにしなきゃ」「当日恥ずかしい思いをさせたくない」そんな焦る気持ちと、「無理はさせたくない」「彼のペースでいい」という気持ちの間で揺れていました。

私が家で始めた「スモールステップ」

悩んだ結果、私は練習そのものより、「楽しい」を増やしたいと思いました。「楽しい」と思えることの積み重ね。学校が楽しくて、安全な場所だと思ってほしい。そのために、家でも少しずつできることを始めました。

ステップ取り組んだことねらい
① 動画共有先生にお願いしてダンス動画を共有してもらった家で自分のペースで練習できるようにする
② 本物と同じ道具を用意学校と同じようなボンボンを購入した「練習」ではなく「運動会ごっこ」として楽しめるようにする
③ 役割を逆転する「教えて」と息子にお願いし、私が生徒役になった「できない」気持ちを取り除き、自信を持ってもらう
④ 積み重ねを見守る数日かけて自分から踊る姿を見守った「できた」を少しずつ積み重ねる
STEP
学校の先生にダンス動画を共有していただいた

『ぽん君が、「チクチクが嫌だ」と言って、ダンスに参加しないんです』『今日は、軍手をはめて、少し踊ってくれましたが、すぐ座り込んでしまいました』先生とこんなやりとりをしてるうちに、お互いに同じアイデアが浮かびました。

『お家で動画を見て練習するのはどうでしょう?』「私も先生にお願いしたいなと思ってたんです!」

先生は自身を撮影したダンス動画をすぐに送ってくださり、『ぽん君、いつもがんばってるね!』ととびっきりの愛が詰まったメッセージを送ってくださいました。

STEP
本物と同じボンボンを用意した

Amazonで学校と同じようなボンボンを購入しました。「練習しよう」ではなく、「運動会ごっこをしてみよう」そんな気持ちで臨もうとポチっと押しました。

STEP
息子ではなく、私が教えてもらう

ここで少し作戦を変えました。

「練習しよう。」ではなく、「おんまも踊りたいんだけど、わからないから教えてほしいな。」そうお願いしました。すると息子は先生になりました。「ダンスの音楽はこんな感じだよ ♪〜♪(鼻歌)」「まず手を挙げてね、足をあげてね、横にジャンプするんだ」

私は、息子が丁寧に教えてくれる姿を見て思いました。

自分はできないという気持ちを取り除くことができれば、きっと自信を持って前を向いてくれるんじゃないか。そう思って、とことん「わからない」「苦手なフリ」で、積極的に「これどうやってやるの」「わからないからもう一回教えて欲しいな」「ゆっくりがいいな」まるで息子の練習中の気持ちを代弁するかのように、わがままになってお願いをしてみました

STEP
少しずつ自信が育っていった

数日後。帰宅すると、「今日ね、新しいダンス覚えた!」そう言って、自分から踊って見せてくれるようになりました。あれほど嫌がっていたダンス。それでも少しずつ、「できた」が増えていきました。

迎えた運動会当日

当日の朝。息子はすごく不安そうに「今日雨降って中止になってほしい」とつぶやきました。運動会をこんなにも嫌がるなんて。子どもは運動会が楽しみ。そんな当たり前が、私たち親子には当たり前ではありませんでした。だけど、それだけ緊張しているんだな、と感じとりました。

それでも当日は晴れました。午前中の競技は、一生懸命参加していました。でも昼食後。ダンスが近づくにつれ、「やりたくない。」そう小さくつぶやきました。

信じるしかできなかった時間

一年生が後ろで待機しています。でも息子の姿が見えません。遠くを見ると、療育担当の先生が寄り添ってくださっていました。

出てきてくれるかな。踊ることはできるかな。もうこのまま参加しないんじゃないか。

複雑な感情が混ざりながら、遠くの先にいる息子をただただ見つめて、祈るしかできませんでした。

私にできること、それは、息子を信じて待つことだ。立つだけでもいい。並ぶだけでもいい。彼がぶつかる壁を、彼自身が乗り越えてくれるよう、そう願いました。信じて待つしかありませんでした。

音楽が鳴った瞬間

曲が流れ始めました。その時でした。後ろから、小さな息子が走ってきました。急いで自分の場所へ向かい、一生懸命ダンスを踊り始めました。1テンポも2テンポも遅れをとりながら、それでも踊り続ける姿。すごく緊張していて、頭で思い出しながら体を動かす姿。

あぁ、こんなにも小さい体でがんばっているんだな。怖さと向き合い続けてきたんだな。息子の気持ちを感じ取って、涙が溢れました。

あの日、私が見たもの

数ヶ月前まで保育園児だった小さな息子。「やりたくない。」そう言い続けていた息子。それでも彼は、怖さと向き合いながら前へ出ました。

大きく踊れたかどうかではありません。完璧だったかどうかでもありません。彼なりに、精一杯、自分の壁を越えようとしていました。私はその姿に胸を打たれました。

親として伴走してきてよかった。最後まで信じてよかった。そう思いました。

よくある質問(FAQ)

運動会に出たがらない子どもには、どう声をかければいいですか?

「頑張って」より「楽しい」を積み重ねることが、我が家では効果を感じました。練習を無理強いするのではなく、遊び感覚で少しずつ慣れていく形をおすすめします。

練習を嫌がるときは無理にでも参加させるべきですか?

我が家では無理強いはしませんでした。動画を使って家で練習する、役割を逆転して子どもに教えてもらうなど、本人が「やらされている」と感じにくい工夫を優先しました。

当日、子どもが参加を渋ったらどうすればいいですか?

私は信じて待つことしかできませんでした。無理に連れ出すのではなく、本人のタイミングを尊重したことが、結果的に息子が自分から踊り出すことにつながったと感じています。

運動が苦手なのは発達障害と関係がありますか?

運動が苦手というだけで発達障害と判断することはできません。ただ、協調運動症(DCD)などの特性がある場合、身体を思い通りに動かすことに苦手さを感じることがあります。気になる場合は、かかりつけ医や発達相談窓口に相談してみるのも一つの方法です。

今日伝えたかったこと

  • 運動会は、一番速く走ることでも一番上手に踊ることでもない
  • それぞれの子どもが、自分なりの一歩を踏み出す日
  • 練習を無理強いするより、「楽しい」を積み重ねる方が力になることがある
  • 信じて待つことも、親にできる大切な関わり方の一つ

あの日、運動会で育ったのは、ダンスではありませんでした。

「僕にもできるかもしれない」そんな小さな自信でした。

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運動が苦手でも、息子には夢中になれることがありました。学校では、赤鉛筆一本で何時間でも世界を描いていたのです。

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