「〇〇くんが可哀想だから、おんま怒らないで。」——たとえ相手が行きすぎた行動をしても、息子はそう言って相手を庇うことがあります。
息子はとても繊細で、相手の痛みを自分のことのように感じてしまう性質があります。だから、自分が嫌なことをされても、我慢してしまうことがある。
相手の命も大切。
でも、それと同じくらい、自分自身も大切な存在なんだ、ということを知ってほしい。
そんな思いで、私自身が一つの物語を作りました。
※この記事は我が家の実体験の記録です。お子さんによって響き方は異なると思いますので、一つの家庭での工夫としてお読みください。
- 相手を庇いすぎてしまう息子の様子
- 「自分も大切」と伝えたくて作ったオリジナル絵本の全文
- 絵本を読み聞かせた夜、息子が話してくれたこと
- 学校に事実を伝えた後、息子に起きた変化
- 物語を通して気づいたこと
相手を庇う息子
息子は、お友達に何かされても、自分から強く言い返すことがほとんどありません。それどころか、相手が行きすぎた行動をとっても、
「〇〇くんが可哀想だから、おんま怒らないで。」
そう言って、相手を庇おうとすることがあります。
私は普段から、「あなたは特別」「大切」「大好き」という言葉を、たくさん伝えているタイプの親だと思います。
それでも、言葉だけでは届いていない部分があるのかもしれない。そう感じることがありました。
相手の命が大切なのはもちろんです。でも、それと同じくらい、自分の命も大切だということを、息子自身に感じてほしい。そう思い、私は物語を作ることにしました。
物語:「りゅうじんさまがあずけてくれた たからもの」
小学校1年生の息子が、安心して眠れるように。少し不思議で、温かく、最後に「自分は大切な存在なんだ」と感じられるお話を目指しました。
りゅうじんさまがあずけてくれた たからもの
むかしむかし。
空のいちばん高いところに、雲よりもっと上の「光の池」がありました。
そこには、とてもやさしい龍神さまが住んでいました。
ある日、龍神さまは、小さな光を両手ですくって言いました。
「この子は、もうすぐ地球へ行くんだね。」
その光が、君でした。
龍神さまは、君に小さな箱を渡しました。
「この箱の中には、この世でたった一つの宝物が入っているよ。」
君がのぞいてみると…
中には、ふしぎな体が入っていました。
ぴくぴく動く心臓。
たくさん考えられる頭。
笑える口。
走れる足。
ぎゅっと抱きしめられる腕。
「これはね、世界に一つだけの体なんだ。」
「こわれたら、なおすことはできても、まったく同じものは二度と作れない。」
「だから、大切に使ってね。」
龍神さまは、君の胸をそっとさわりました。
すると、胸の中にポッと小さな光が入りました。
「これは『いのちの火』だよ。」
「悲しいときは小さくなる。」
「うれしいときは大きくなる。」
「誰かを大切にすると、もっと明るくなる。」
「そして、自分を大切にすると、一番きれいに光るんだ。」
君は聞きました。
「もし転んだり、ケガをしたら?」
龍神さまはにっこり笑いました。
「その時は、『体が教えてくれている』んだよ。」
『ちょっと休もう。』
『無理しないで。』
『大事にしてね。』
そんなお手紙なんだ。
だから、体の声を聞いてあげてね。」
最後に龍神さまは言いました。
「お父さんも、お母さんも、先生も、お友達も、大切。」
「でもね。」
「君の命も、それと同じくらい大切なんだ。」
「だから、自分をいじめちゃだめ。」
「自分の体を傷つけちゃだめ。」
「君は神さまから預かった、大切な宝物だから。」
そう言うと、龍神さまは、君の頭をそっとなでました。
そのぬくもりは、今でも風になって、ときどき君のほっぺをなでています。
だから、夜、眠る前に目を閉じると…
どこからか、やさしい声が聞こえてきます。
「今日も一日、よくがんばったね。」
「君の命は、今日もピカピカ光っているよ。」
そしてその光は、お父さんやお母さんの心も、あたたかく照らしてくれるのでした。
おしまい。 🌕🐲
読み聞かせた夜、息子が話してくれたこと
この物語を読み聞かせた夜、不思議なことが起きました。息子が突然、
「実はね、学校でこんなことがあったんだ。」
と、ポロポロ涙をこぼしながら話し始めたのです。
ブロックで遊んでいたら、上級生のお兄ちゃんたちに邪魔をされ、言い返したら、大切な場所を蹴られてしまったこと。
嫌だったし痛かったけれど、「怒ったら可哀想」と思って、その場では何も言えなかったこと。
本当はとても嫌で、先生にも守ってもらいたかったこと。
それまで、息子自身も、その気持ちにきちんと向き合えていなかったのかもしれません。
物語を通して、自分の体や心を大切にしていいのだと感じたことで、心の奥にしまっていた出来事に、改めて「あっ」と気づけたのだと思います。
物語だからこそ気づけることがある
私は普段から、「あなたは大切」「大好き」という言葉を、たくさん伝えてきたつもりでした。
それでも、伝え方を変えて、物語という少し客観的な形にしたことで、初めて開いた心の扉があったのだと感じています。
直接「辛かったことはある?」と聞いても、話してくれなかったかもしれません。でも、龍神さまが「自分を大切にしていい」と教えてくれる物語を通して、息子は自分自身を振り返り、自分の気持ちに気づくことができました。
きっとこれから先も、この社会で嫌な思いや辛い思いをする機会が、人より少し多くなるかもしれない息子。
それでも、前を向いて、「それでも自分は美しい」と思える自尊心を、これからも育てていきたいと思っています。
よくある質問(FAQ)
- 子どもが自分の気持ちより相手を優先してしまうのはなぜですか?
-
お子さんによって理由は様々だと思いますが、我が家の場合、息子は相手の痛みを自分のことのように感じてしまう、繊細な気質があります。そのため、自分が傷ついても相手を庇おうとすることがあります。
- オリジナルの絵本や物語は、どうやって作ればいいですか?
-
特別な技術がなくても大丈夫だと思います。我が家では、伝えたいメッセージ(自分の命も大切だということ)を軸に、お子さんが好きな世界観(今回は龍神さま)を組み合わせて作りました。最近ではAIの活用も身近になってきたので、ぜひ作ってみてください。
- 子どもが辛い経験を話してくれないときはどうすればいいですか?
-
直接尋ねるだけでなく、物語や絵本を通して、少し客観的な形で気持ちに触れる方法もあると感じています。無理に聞き出そうとせず、子どもが自分から話したくなるきっかけを作ることを大切にしています。
- 子どもが学校でのトラブルを話してくれた場合、どう対応すればいいですか?
-
我が家では、まず気持ちをしっかり受け止めた上で、必要に応じて学校とも情報を共有するようにしています。お子さんが「守ってもらいたかった」と話してくれた場合は特に、家庭内だけで抱え込まず、学校とも連携することをおすすめします。
後日談:先生に守ってもらえた経験
この出来事を知った翌日、学校に事実を伝えました。先生が事実確認をした上で、上級生たちを呼んで、しっかりと謝罪の場を作ってくれました。
お互いに「ごめんね」を伝え合った後、息子は初めて、その上級生たちと仲良く遊べたそうです。
物語を通して、自分の気持ちに気づけたこと。そして、その気持ちを言葉にしたことで、大人がきちんと守ってくれたこと。この2つが揃って初めて、息子の中に「自分は大切にされる存在なんだ」という実感が、本当の意味で根付いたのかもしれません。
今日伝えたかったこと
- 相手を庇いすぎてしまう子どもには、繊細さゆえの優しさがある
- 「自分も大切」というメッセージを、物語という形で伝えてみた
- 物語を通して、子ども自身が心の奥にしまっていた気持ちに気づくことがある
- 言葉で何度も伝えることと、形を変えて伝えることは、どちらも大切
相手の命も、自分の命も、同じくらい大切。
そんな当たり前のようで、繊細な子どもにはなかなか届きにくいメッセージを、これからも色々な形で伝えていきたいと思っています。
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