はじめに
この記事でわかること
この記事では、
- 発達グレーゾーンの子に併発しやすい「協調運動症(DCD)」とは何か
- 「努力不足」だと思っていたことが、実は身体の特性だったと気づいた体験
- お箸・運動・ダンスが苦手な理由
- 特性を知ったことで変わった親の声かけ
について、実体験をもとにお話しします。
「5歳ならできるはず」
5歳の定期検診。
先生から、
「指を一本ずつ折ってみようか。」
と言われました。
私は、何気ない検査だと思っていました。
でも息子は、思うように指を動かせませんでした。
親指だけ。
人差し指だけ。
中指と薬指は一緒に折る。
一本ずつ動かすことができない。
私は少し驚きました。
「え?なにがそんなに難しいんだろう?」
その時は、深く考えていませんでした。
「協調運動症」という言葉を初めて知った
小学生になり、久しぶりの定期診察で発達クリニックに行きました。
先生から聞いた言葉。
「協調運動症(DCD)の傾向がありますね。」
初めて聞く名前でした。
先生はこう説明してくださいました。
「頭で考えている動きと、身体を動かすことを結びつけることが苦手なお子さんがいます。
ADHDやグレーゾーンの子には、併発がみられやすいんです。」
その瞬間、私の頭の中で、
今までの出来事が一本の線につながりました。
ずっと、「努力不足」だと思っていた
真っ先に思い出したのは、お箸でした。
何年練習しても、なかなか上達しない。
もう3年ぐらい、トレーニング箸を使って食事をとってるのに。
何度教えても、
お箸も、鉛筆も
何だかぎこちない。
私は心のどこかで、
「もう少し練習すればできるはず。」
そう、ずっと思っていました。
運動会も、体育も、全部つながった
それだけではありません。
運動会、ダンス、ボール遊び、縄跳び、体育。
全部苦手でした。
本人も、
「僕は下手だから。」
と口にしては、自信をなくしていました。
私は、そんな息子を見ながら
「失敗するのが嫌なんだ。」
「完璧主義なんだ。」
「やればできるのに。」
そんなふうに思っていました。
嫌いになってるんだと思っていました。
でも違いました。
やる気がないわけじゃない。
身体を思うように動かせなかったのです。
「ごめんね」
自分でも理由はわからない。
だけど、思うように身体が動いてくれない。
先生から説明を聞きながら、私は涙が出そうになりました。
息子はどれだけ苦しかったんだろう。
どれだけの、ストレスを感じていたんだろう。
本人が一番頑張っていたのに。
できない理由が、
怠けでも、甘えでもなく、
身体の特性だった。
そのことを知った時、
安心した気持ちと、
申し訳なさが同時に押し寄せました。
私は帰宅してから、息子の寝顔を見ました。
何も知らずに、
「もう少し頑張れば。」
と言ってきた自分を思い出しました。
「ごめんね。」
その言葉しか出ませんでした。
声かけが変わった
それから私は、言葉を変えました。
「なんでできないの?」
ではなく、
「どうしたらやりやすいかな?」
「ここまでできたね。」
「昨日よりできるようになったね!」
息子の表情も、
少しずつ変わっていきました。
「できない」を責めるより、「できる方法」を探したい
協調運動症は、「もっと頑張れば克服できる」というものではないとされています。
だからこそ、本人の努力だけに任せるのではなく、
環境や道具を工夫することも大切だと私は学びました。
例えば我が家では、
- 太めのお箸を試す
- 持ちやすい鉛筆を使う
- トレーシングペーパーで指先を動かす
- レゴやブロックなど小さいものを摘む練習をする
- 絵を描く時間を大切にする
そんな小さな積み重ねを続けています。
おわりに
協調運動症という言葉を知る前の私は、
「できない」
という結果しか見ていませんでした。
でも今は違います。
その子には、その子の身体があります。
その子のペースがあります。
そして、
その子だけの努力があります。
だから私は、「できない」を叱る親ではなく、
「どうしたらできるかな?」
を一緒に考えられる親でありたいと思っています。
そしてそれを考えられる親で居続けられるよう、
自分の心に「余白」を作ることを意識しています。
よくある質問
- 協調運動症とは何ですか?
-
協調運動症(DCD)は、身体を思い通りに動かすことに困難さがある発達特性です。お箸・ボタン・運動・字を書くことなどに苦手さが見られることがあります。
- ADHDの子に多いのですか?
-
ADHDと併存することもあるとされています。
ただし、すべてのお子さんに当てはまるわけではないため、気になる場合は専門機関へ相談することが大切です。 - 親にできることはありますか?
-
「できない」を責めるより、「どうしたらやりやすくなるか」を一緒に考えることが、子どもの安心感につながると私は感じています。
今日伝えたかったこと
- 「できない」は努力不足とは限らない
- 身体の特性を知ることで見え方は変わる
- 子どもは誰よりも頑張っている
- 「できる方法」を一緒に探すことが親にできる支援
- 理解することは、子どもへの一番のプレゼントになる
今日も、誰かの「できない」が、
「努力不足」ではなく、
その子らしさ
として受け止められますように。
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