はじめに
この記事でわかること
この記事では、
- 協調運動症(DCD)の子どもが感じやすい「リズム運動」の苦手さ
- 太鼓の達人を通して、苦手意識が自信へ変わった体験
- 「好き」と「スモールステップ」を組み合わせる大切さ
- 親が見守ることで、子どもの挑戦する力が育つ理由
について、我が家の実体験をお話しします。
「運動が苦手。」
「リズム遊びになると急に動けなくなる。」
そんなお子さんを見て悩んでいる親御さんへ。
我が家にも、同じように苦手意識から何度も立ち止まっていた息子がいました。
でもあるゲームとの出会いが、
「できない」を「もう一回やりたい!」へ変えてくれました。
リズムに合わせて体を動かすことが苦手だった息子
息子には、ADHDグレーゾーンに併発して、
協調運動症(DCD)の傾向があります。
協調運動症とは、
知的発達や筋力には問題がないにもかかわらず、
頭で思い描いた動きと、
実際の体の動きをうまく一致させることが難しい特性です。
箸を使うこと。
ボールを投げること。
細かな指先の動き。
そして、
音楽を聴きながら体を動かすことも、その一つでした。
幼い頃から、
テレビの子供向け番組でも、
「一緒に踊ろう!」の時間には、息子は踊りません。
画面をじっと見つめたり、手拍子だけをしたり。
保育園へ入ってからも、
リズム体操や運動会では思うように体が動かず、
「みんなと同じようにできない」という経験を重ねるうちに、
どんどん自信を失っていきました。
「楽しい」が先に来る方法はないだろうか
私は考えました。
どうしたら、体を動かす楽しさを感じてもらえるだろう。
苦手を克服するための練習ではなく、
本人が夢中になれる方法はないだろうか。
そんな時に出会ったのが、音楽ゲーム『太鼓の達人』でした。
画面に流れてくるリズムに合わせて、
太鼓を叩くゲームです。
一見すると、
「タイミングに合わせて叩くだけ」
に見えるかもしれません。
でも協調運動症のある息子にとっては、
目で見る。音を聞く。
タイミングを判断する。腕を動かす。
力加減を調整する。
これらを同時に行う、とても難しい遊びでした。
「僕は失敗するから嫌だ」
最初は、ゲーム機の前にも立ちませんでした。
「僕は失敗するから嫌だ。」
そう言って後ろへ下がってしまいます。
その言葉を聞いた時、「失敗すること」が怖い息子の気持ちに気付きました。
できないことよりも、「また失敗してしまうかもしれない」という記憶が、
息子を一歩踏み出せなくしていたのかもしれません。
これまでも、リズムに合わせて体を動かす体操やダンスをやってきた中で、
息子が知らずと感じ取っていたストレスや、
失敗から傷ついてしまった経験がたくさんあったんだろうなと、
息子の心境が見えたのです。

そこで私と主人が、息子の大好きなポケモンの曲を
「かんたんモード」で遊んでみせました。
「失敗しても大丈夫。」
「まずはやってみよう。」
そう伝え続けると、息子は少しずつ興味を持ち始め、
ようやくバチを握ってくれました。
その一歩が、すべての始まりでした。
完璧にできるまで、何度でも
最初は思うように叩けませんでした。
タイミングがずれます。
焦ります。
途中で止まってしまいます。
でも、不思議なことが起きました。
「次はもっと上手になりたい。」
そう言って、家でも太鼓の達人のアプリで練習を始めたのです。
しかも、毎回同じ曲。
同じポケモンの曲。
同じ「かんたんモード」。
何十回も、何十回も。
私は途中で、「違う曲もやってみたら?」と言いたくなりました。
でも飲み込みました。
息子にとっては、
完璧にできるまで挑戦することが、
安心につながる大切な時間だったからです。
「好き」という気持ちがあるからこそ、
繰り返すことも苦にならなかったのでしょう。
ゲームセンターで迎えた「フルコンボ」
ある日、またゲームセンターへ行きました。
いつものポケモンの曲。
もちろん今日も「かんたんモード」。
息子は真剣な表情で、ぎゅっとバチを握っています。
画面だけを見つめ、
一打一打を丁寧に叩いていきます。
そして、演奏が終わった瞬間。
画面には、
「フルコンボ!」
の文字が表示されました。
一度もタイミングを外さず、最後まで叩き切ったのです。
息子は画面を何度も見返していました。
「おんま!フルコンボだ!」
そう言って目を輝かせて満足そうに笑う息子を見た時、
私は胸がいっぱいになりました。
あの日、一番大きく変わったのはゲームの結果ではなく、
「僕にもできる」という息子の表情でした。
その笑顔は、今でも忘れられません。

その日から息子は、違う曲にも挑戦するようになりました。
苦手だったリズム遊びが、
いつの間にか大好きな遊びへ変わっていたのです。
「好き」が子どもの可能性を引き出してくれる
今回の出来事を通して、私は改めて感じました。
苦手なことを無理に克服させるより、好きなことと結び付けた方が、
子どもは何倍もの力を発揮することがあります。
そして、その挑戦を支えるのは、特別な教材ではありません。
「失敗してもいいよ。」
「今日はここまでできたね。」
そんな安心できる言葉と、子どものペースを尊重する環境でした。
親が先回りして答えを教えるのではなく、
子どもが「自分でできた」と思える経験を積み重ねること。
その小さな成功体験が、次の挑戦への大きな自信になっていくのだと感じています。
おわりに
協調運動症のある息子にとって、
太鼓の達人は、ただのゲームではありませんでした。
「できない」と思い込んでいた自分を、
少しずつ乗り越えるための挑戦でした。
もし今、
お子さんが何かに強い苦手意識を持っているなら、
無理に克服させようとしなくても大丈夫かもしれません。
まずは、その子が夢中になれる「好き」を探してみませんか。
そして、小さな一歩を一緒に喜んでみてください。
我が家のフルコンボも、
そんな小さな一歩の、たくさんの積み重ねから生まれました。
今日できなかったことが、明日もできないとは限りません。
親子で積み重ねた「できた!」は、きっと、
子どもの未来を支える大きな自信になっていくと、私は信じています。
よくある質問
- 協調運動症(DCD)の子どもは、リズム遊びやダンスが苦手なのでしょうか?
-
すべてのお子さんに当てはまるわけではありませんが、協調運動症のある子は、音を聞きながら体を動かしたり、頭でイメージした動きをそのまま体で表現したりすることに難しさを感じる場合があります。無理に参加させるのではなく、その子に合ったペースや方法を見つけることが大切だと感じています。
- 太鼓の達人は協調運動症の練習になりますか?
-
我が家では、とても良い経験になりました。ただし、「練習」と考えるよりも、子どもが夢中になれる遊びとして楽しむことを大切にしていました。好きな曲や簡単な難易度から始めることで、「できた!」という成功体験につながったと感じています。
- 同じ曲ばかり繰り返していても大丈夫ですか?
-
私は問題ないと思っています。息子は同じ曲を何度も繰り返すことで安心し、「完璧にできた」という達成感を味わうことができました。子どもの「もう一回やりたい」という気持ちを尊重することが、自信につながることもあると感じています。
今日伝えたかったこと
- 協調運動症の子どもは、リズムに合わせて体を動かすことに苦手意識を抱えやすいことがある
- 「好き」と「スモールステップ」を組み合わせることで、苦手が「楽しい!」へ変わることがある
- 同じことを繰り返す時間は、子どもの自信を育てる大切なプロセスでもある
- 「失敗してもいいよ」という安心感が、子どもの勇気を育てる
- 子どもの可能性は、「できないこと」を責めるのではなく、「好き」を信じることから広がっていく
太鼓の達人で手に入れたのは、フルコンボだけではありませんでした。
「僕にもできる。」
その小さな自信こそが、息子にとって一番大きな宝物だったのだと思います。
もし今日、お子さんが「できない」と落ち込んでいたとしても、
その子の「好き」の中には、まだ見つかっていない大きな可能性が眠っているかもしれません。
この記事が、「うちの子が夢中になれるものは何だろう」と考える、
小さなきっかけになれたら嬉しいです。
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